- 早出の強制はパワハラになるのか
- 早出を強制させる職場の危険性について知りたい
当記事では、こんな疑問に答えています。
- 新人が早出をするのは当然だ!
- みんなやってきた事だ!
- 時間外手当?そんなもの出るわけないだろう
「何言ってんの?」と思わずツッコミたくなる、理不尽な理由による早出の強制。
ちゃんと時間内に出勤してるのに、どうして無駄に早く出勤しなくちゃいけないの?と疑問に思いますよね。
結果ではなく、会社に長時間居座るだけで評価される悪しき風習は、未だに根強く残っている問題です。
こうした職場で働くことの危険性や、有効な対策の有無を紹介しているので、職場環境に悩んでいる方にとって役立つ内容になっています。
もくじ
「朝早く来い」はパワハラになるの?

業務上適正な範囲内であればパワハラとはなりません。
- 新入社員の教育のために業務開始前に研修を行う
- 入出庫作業のため部署全員で対応しなければいけない
- 取り引きの関係上、客先と折衝しなければいけない
例としては、上記のものが当てはまりますね。
業務を遂行していく上で必要とされる理由があれば、業務命令として「朝早く来い」と指示することは可能です。
- 特定の個人だけ呼び出し、教育と称して早出をさせる
- 先輩たちより先に出社しないのは失礼にあたる
- 掃除や雑務は始業時間前に終わらせておく
反対に、上記のように業務上適切とはいえない理由で早出を強要させるようであればパワハラとなります。
(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
引用元:総務省e-Gov 労働基準法第五条
また、不利益な条件や評価を下げることをチラつかせて早出を強制させる行為は、法律違反となることを覚えておきましょう。
業務に関わる作業は「労働」としてカウントされる
早出を強要する理由としてありがちなのが、
- 清掃をするため
- 雑務を終わらせるため
ではないでしょうか。
直接業務と関係ないため、始業時間前には終わらせて、始業開始とともに業務を開始したいという会社側の思惑があるのでしょう。
清掃・雑務・着替え、これらはすべて労働としてカウントされます。
会社側は、業務上必要かつ適切であれば早出を指示することも可能ですが、次の項目で解説することに注意しなくてはいけません。
「朝早く来い」はパワハラ以前に時間外労働にあたる

第十一条 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
引用元:総務省e-Gov 労働基準法第十一条
どのような内容・理由に問わず、労働に対して賃金を支払うのは、法律上定められていることです。
ということは、早出出勤をさせている時点で、労働に見合った賃金を支払わなければいけません。
また、早出をするということは、時間外労働となるので割増賃金の対象となります。
こちらは労働基準法第三十七条で規定されていることなので、割増賃金を支払わなければ法律違反となります。
「早出をするのは当然だから賃金はでないよ」
「早出しろ!これは命令だ!賃金の話なんて十年早い」
なんていう会社は、パワハラ以前に労働基準法違反になるわけですね。
会社によって30分・1時間で労働賃金を算出するものですが、この時間を超えた早出に対して、きちんと賃金が支払われるか確認するようにしましょう。
時間外労働を強制させる会社の危険性

時間とお金を無駄に消費している
ここでは、具体体に1時間の早出を無賃でした場合、どれほどの時間と賃金を無駄にしているか見ていきましょう。
月に20日稼働したとして、12ヶ月働いたとすれば
1時間✕20日✕12ヶ月=240時間
となり、まるっと10日分の時間を無駄に浪費していることになります。
次に賃金を見ていきましょう。
令和2年度における最低賃金のワーストは792円です。
通常の賃金に最低でも1.25倍が労働時間外の割増賃金となっているため、
792(時給)✕1.25(時間外労働の割増分)✕20日✕12ヶ月=237600円
となり、1ヶ月あたりでも19800円も無駄に消費していることになります。
ちなみに、これは全国でワーストの最低賃金なので、時給が高いほど無駄にしている金額は大きくなります。
勤続年数が長くなるほど時間とお金を無駄に消費することになっているので、いかに搾取されているかがわかりますね。
体力の消費
単純に、長い時間働くほど体力を消費していくものです。
早出をすることで業務時間が長くなるだけでなく、早起きをしなくてはいけないので睡眠時間が削られますよね。
人間の集中力は長い時間もたないので、長時間労働は仕事のパフォーマンスにも影響がでるもの。
また、時間外労働をしたのに賃金が支払われないのであれば、何のために働いているのかわからないのでモチベーションの低下につながります。
洗脳される
慣れとは恐ろしいもので、どんなに酷い環境であっても、慣れてしまえばそれが普通と感じてしまうものです。
長時間労働や賃金の未払いが当たり前になると、普通のことと認識してしまいます。
周囲の人が洗脳されてしまえば、同調圧力で問題を揉み消されてしまうこともあるでしょう。
- 新人だから当たり前
- みんな同じことをしてきたから
というのは、早出の強要や賃金の未払いをしていい理由にはなりません。
間違った風習に慣れてしまわないよう注意したいですね。
時間外労働を強制させられた場合には

限度を決めたうえで割り切る
- 30分以内の早出ならOK
- 早出をしても決められた業務しかしない
といったように、自分なりに限度を決めたうえで、早出をしなくてはいけない会社なんだと割り切るのも一つの手です。
こちらが反論しても、上司や会社側が「こういうもの」と決めてしまえば、改善することはできません。
悔しいですが、一社員ではどうすることもできないのが現実です。
であれば、現状を割り切って早出をするしか対策はないですよね。
ただし、物事には限度があります。
定時の2時間前には出勤しろ!
となった日には、どれだけの無駄な時間やお金を無駄にすることになるでしょう。
退職をして環境を変える
会社に滅私奉公しているわけではないですよね。
労働に対する対価をまともに支払えないような会社で働いても、自分の身を亡ぼすだけです。
また、早出の習慣が身についている職場では当然のように強制してくるため、改善させることは不可能でしょう。
理不尽な理由で早出を強制させられるのであれば、退職をして働く環境を変えるのが最善策になります。
変えられない環境で働き続けても、状況が改善されることがないことは認識しておきましょう。
ストレスなく退職をするためには

- 退職を申し入れると何をされるか分からない
- 退職を申し入れたら脅しや強い引き留めにあった
- 会社に行くのがツライ
- 退職の際に未払い賃金や有給休暇の交渉をしたい
中には、上記のような悩みを抱えている方もいることでしょう。
ストレスの溜まっている状態で退職を切り出すのは、神経が擦り減るもの。
また、有給休暇や未払い賃金の取得をしたくても、理不尽に断られるケースは非常に多いです。
そこで、会社に退職の申し入れをしたくても出来ないと悩んでいる方は「退職代行サービス」の利用を勧めます。
退職代行サービスを利用することのメリットとして以下が挙げられます。
- 会社に顔を出さずに退職することができる
- 会社とのやり取りが不要
- 離職票などの必要な書類の発行依頼が可能
- 未払い賃金や有給休暇の交渉が可能(※退職代行による)
退職に関する法律の知識も持ち合わせているため、合法的に退職に結び付けられるのが最大の強みですね。
ただし、退職代行の中には悪質な業者がおり、退職ができないといったトラブルにつながりかねないので、利用する前に最低限の知識を身につけることでトラブルを回避することができるでしょう。
☟の記事では、退職代行に関するポイントや疑問を解説しているので、退職代行を利用する前に一読することを勧めます。

当サイトでは、合法性・料金・サービスの質をトータルで比較した結果、退職代行ガーディアンを一番にオススメしています。
☟の記事でもオススメの退職代行サービスを紹介しているので、選ぶ際の参考にしてください。

まとめ
業務上適切とはいえない理由で、早出を強要させるようであればパワハラとなります。
また、早出を拒否したことにより、不当な扱いや評価を下げるといった行為もパワハラです。
掃除や雑務は労働としてカウントされるので、会社側は時間外労働として割増賃金を支払わなければいけません。
どのような理由であれ、労働に対する賃金を支払わないのであれば、労働基準法を違反していることになりますね。
こういった問題は根深く、習慣化している職場では早出をなくすことは不可能でしょう。
無賃での労働は時間やお金を無駄に消費することになるので、理不尽な早出を強制させるような職場は危険だといえます。
有効な対策がない以上、退職をして環境を変えることが最善策になります。
滅私奉公が自分のためになるのか、冷静に考えてみましょう。