パワハラ

【判断材料】パワハラによる労災認定の基準を詳しく解説!

  • パワハラの明確な基準ってあるの?
  • どんな被害状況だとパワハラによる労災が認められるの?

当記事では、こんな疑問に答えています。

「これってパワハラになるの?」

相談しても人によって答えがバラバラで、何が正しいのかわからなくなってきますよね。

そんな状況で、パワハラとして認めるための基準として最も有力なのが「労災認定されるか」ではないでしょうか。

労災認定されれば、公的にパワハラによる被害が認められたことになります。

そこで、パワハラによる労災が認められる基準を紹介しているので、パワハラであるかの判断材料として役立つ内容になっています。

被害に遭っている方で「パワハラされているかな?」と疑問に感じているのなら、当てはまるものがあるかチェックしてみてください。

パワハラの明確な基準

結論から言えば、明確な基準はありません。

なぜなら、パワハラとは受け取り手によって変わってくるからです。

同じことをされても、一方がパワハラと感じればパワハラとなり、一方がパワハラと感じなければパワハラにはなりません。

そのため、「これってパワハラになるの?」と相談をしても、人によって答えが変わってくるわけですね。

パワハラにあたる行為を詳しく解説!なぜ人によって答えが違うのか?この記事では、パワハラにあたる行為について詳しく解説しています。 パワハラにあたる行為か相談すると、人によって答えは変わるもの。 当記事では、パワハラの定義についても触れているので、人によって答えが変わる理由が理解できる内容になっています。...

パワハラ行為に対する罰則はない

改正労働施策総合推進法、通称パワハラ防止法が2020年6月1日から施行されました。

これは、パワハラの周知と防止策を企業に対して講じることを義務化した法律となります。

ですが、罰則があるわけではないので、実際に効果があるのかといわれれば疑問ですね。

(助言、指導及び勧告並びに公表)
第三十三条 厚生労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、助言、指導又は勧告をすることができる。
2 厚生労働大臣は、第三十条の二第一項及び第二項(第三十条の五第二項及び第三十条の六第二項において準用する場合を含む。第三十五条及び第三十六条第一項において同じ。)の規定に違反している事業主に対し、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
引用元:総務省 e-Gov 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第三十三条

厚生労働大臣が必要と認めた場合、助言や指導または勧告することができるとされています。

また、その勧告に従わない場合は、企業名が公表される可能性があるとのことです。

あくまでも企業に対して「こうした方がいいですよ」と助言するだけなので、強制力がないことに注目しましょう。

パワハラ認定となる基準は労災認定されるか

「じゃぁ、被害者は泣き寝入りするしかないの!?」

と感じるかもしれませんが、過去にはパワハラにより慰謝料を請求できた事例があります。

会社側に相談をして処分する方法もありますが、会社によって対処の仕方が違うため、明確な基準はありません。

パワハラ防止法には罰則はありませんが、裁判という方法をとれば加害者に罰則を与えることができます。

ですが、簡単な話ではなく、慰謝料を請求するには労災認定レベルでなければいけません。

つまり、公的に罰則を与えられるほどのパワハラは、労災認定されるかが基準となるわけですね。

具体的にどうなれば労災認定になるのか次の項目で解説していきますね!

パワハラによる労災認定の基準

パワハラによる労災認定は、「業務による強い心理的負荷が認められる」ことがポイントになります。

具体的な精神障害の労災認定要件は、以下の通りになります。

  1. 認定基準の対象となる精神障害を発病していること
  2. 認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められるもの
  3. 業務以外の心理的負荷や個体側要因により発病したとは認められないこと

この3つの条件を満たせば、パワハラによる被害が労働災害として認められるわけですね。

逆をいえば、どれか一つでも満たしていない条件があれば労災認定はされません。

原文だとわかりにくいので、各条件をそれぞれ解説していきます。

①認定基準の対象となる精神障害

国際疾病分類第10回修正版(ICD-10)第5章「精神および行動の障害」に分類されている精神障害が対象となっています。

精神および行動の障害はF0~F9までの10種類に分類されており、業務に関連して発病する可能性のある代表的な精神障害は2項目あります。

分類コード疾病の種類代表的な病名
F3
  • 気分[感情]障害
  • うつ病
  • 双極性障害(躁うつ病)
F4
  • 神経症性障害
  • ストレス関連障害
  • 身体表現性障害
  • 恐怖症
  • 適応障害(PTSDなど)
  • 不安神経症(パニック障害など)

上記のような精神障害を発病することが、条件の一つとなります。

②業務による心理的負荷の評価

心理的部下の強度を「弱」「中」「強」の3つに分けており、「強」と評価された場合に条件を満たすことになります。

ですので、「弱」「中」の評価の場合は、労災認定されないことを覚えておきましょう。

どうやって評価を決めているの?

労働基準監督署が「業務による心理的負荷評価表」に基づいて、発病おおよそ6か月の間に起きた業務による出来事を評価します。

  • 「具体的出来事」への当てはめ(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)
  • 出来事の心理的負荷の総合評価(弱・中・強)
  • 出来事が複数ある場合の総合評価(弱・中・強)

出来事や具体例を細かく分類した「業務による心理的負荷評価表」をもとに、業務での出来事を当てはめます。

上記3つの項目を総合的に評価したうえで、最終的な評価を決めるわけですね。

「強」になる条件とは?

「特別な出来事」か「業務による心理的負荷評価表」をもとに「強」と判断される2種類となります。

特別な出来事とは?
  • 業務に関連し、生死にかかわる重大なケガを負わせた
  • 永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをする
  • 強姦や本人の意思を無視したわいせつ行為などのセクハラ行為を受けた
  • 発病直前の1ヶ月におおむね160時間を超える、または同程度の時間外労働を行った

特別な出来事ではない場合の例を挙げてみましょう。

出来事の類似型:対人関係

具体的出来事:(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた

精神的負荷の強度:Ⅲ

【具体例】
①部下に対する上司の言動が、業務指導の範囲を逸脱しており、その中に人格や人間性を否定するような言動が含まれ。かつ、これが執拗に行われた。
②同僚等による多人数が結託しての人格や人間性を否定するような言動が執拗に行われた。
③治療を要する程度の暴行を受けた。

上記に当てはまる出来事があれば、「強」と評価されるわけですね。

このように、「業務による心理的負荷評価表」には具体的な例が細かく分類されています。

他の評価基準が気になる方は、「厚生労働省 精神障害の労災認定」をチェックしてください。

被害が複数ある場合には?

  • 暴力を振るわれた
  • セクハラをされた

といったように、関連しない出来事が複数あった場合には、個々の出来事を考慮したうえで全体の評価を決定します。

例えば、「強」と「中」に相当するパワハラがあった場合には、

「強」+「中」=「強」

といった具合ですね。

「中」+「中」=「強」

となるケースもあれば、

「中」+「中」=「中」

となるケースもあるため、一概に被害が複数あるからといって「強」になるというわけではありません。

あくまでも、出来事の数・内容・出来事が起こるまでの時間等を考慮して全体を評価することを念頭に入れておきましょう。

③業務外の心理的負荷による発病であるか

心理的負荷は業務上だけで起こるものではありませんよね。

離婚や引っ越し、家族の病気など、業務外でも心理的負荷はあるものです。

業務外で心理的負荷が大きい時に、業務上で大きなストレスを感じれば精神障害になる可能性は高くなります。

また、すでに精神障害であったり、アルコール依存症といった問題を抱えているケースもあるでしょう。

労働災害は、あくまでも業務上の出来事に対しての補償です。

そのため、業務外の心理的負荷は加味されないわけなんですね。

ですので、労災認定要件の①と②を満たしたとしても、すでに精神障害だった場合には、業務上の出来事の精神障害ではないとして労災認定されない可能性があります。

②(被害状況の総合評価)ー③(プライベートのストレス)=労災判断基準

となるわけですね。

パワハラによる労災認定の基準は厳しいのが現実

ここまで見てもらうと分かる通り、非常に面倒な手続きになります。

また、同じ被害に遭ったとしても、プライベートでの心理的負荷の状態によっては認定結果が分かれることもあるでしょう。

精神障害の労災認定率は以下の通りになっています。

精神障害の労災補償状況
年度決定件数支給決定件数認定率
令和元年158650932.1%
平成30年146146531.8%
平成29年154550632.8%
参考元:厚生労働省ホームページ 精神障害に関する事案の労災補償状況(令和元年度)

これは公表されている数値なので、あくまでも表に出ているものだけです。

泣き寝入りをしたり、証拠がないからと労基署に突っぱねられるケースも考えられるため、実際には認定率はさらに低いものとなっているでしょう。

また、認定率約30%という数値は高いものではありません。

少なくとも、約70%は被害に遭っても泣き寝入りするしかない状況です。

まとめ

パワハラは受け取り手によって変わってくるため、明確な基準というものはありません。

また、パワハラ防止法には罰則が規定されておらず、行政も指導などしか行えないため、強制力のない法律といえますね。

であれば、パワハラの明確な基準を設けるには、「労災認定されるか」に焦点を当てるしかありません。

ただ、現実には敷居が高く認定率も約30%と低いのが現実です。

被害に遭っても泣き寝入りするしかないケースが多い現状で、どんな行動をとるのが最善か考えることが重要ですね。

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